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最高裁判所第一小法廷 昭和46年(オ)136号 判決 1975年2月20日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理由

上告代理人小山内績の上告理由一ないし四について。

所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は採用することができない。

同五について。

被上告人が所有権に基づいて旧七四番の土地の所有権取得登記を経由している以上、その登記の効力は、土地台帳上分筆登録されている七四番の一ないし三の土地に及ぶことはもとより、その後において分筆登記された七四番の一ないし三の土地にも及ぶべきものである旨の原審の判断は、正当として是認することができ、論旨は、採用することができない。

同六について。

論旨は、本件係争地(七四番の三)について所有権移転登記を受けた上告人山内に対し、被上告人はその所有権取得を対抗することができないのに、原審が対抗できると判示しているのは、法律の解釈を誤つた違法がある旨主張する。しかし、原審の適法に確定した事実関係によれば、原審が、被上告人の旧七四番の土地に対する登記は焼失して現存しないけれども、元来上告人山内は本件係争地につき実体上の権利を有せず、ただ、登記簿上の所有名義人に過ぎないから、登記の欠缺を主張するに足りる正当な利益を有する第三者とは称しがたく、従つて、被上告人は上告人山内に対し登記なくして本件係争地の所有権を主張することができるとした判断は、これを正当として是認することができ(最高裁昭和三一年(オ)第七四九号同三四年七月二四日第二小法廷判決・民集一三巻八号一一九六頁参照)、原判決に所論の違法はない。またその余の論旨は、ひつきよう、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものにすぎない。それゆえ、論旨はいずれも採用することができない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 岸上康夫 裁判官 藤林益三 裁判官 下田武三 裁判官 岸 盛一 裁判官 団藤重光)

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